日本映画制作適正化機構についてAbout us

For the future of the Japanese film industry

設立の経緯

映画産業を取り巻く環境は、デジタル時代の到来により、世界的に大きな変革を迎えています。

2019年に日本の映画興行収入が史上最高を記録したことは、我が国の映画産業の将来性を物語っています。
しかしながら、スタジオ・システムの完全崩壊、デジタル化が招来した映像コンテンツのニーズの高まりによる映画製作本数の急増は、映画の制作現場の負担を増加させることとなりました。経済産業省が2019年に実施した実態調査では、映画制作現場において「フリーランス」のスタッフが全体の7割以上を占めていることが明らかになりました。さらに彼らの就業条件や安全管理、人材育成等が脆弱化しているという問題点が抽出されると共に、長時間労働などの厳しい労働環境、契約書・発注書等の不交付など、特に映画制作現場の取引・就業環境においては、改善すべき多数の課題が有ることが明らかとなりました。

一方で、2019年3月に内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の連名で公表された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」では、映画制作スタッフに「労働者性」が認められる可能性があるとの判断がなされました。

このような状況を受け、我が国の映画制作を将来に亘って持続させるためには、映画制作現場の取引・就業環境改善や映画産業を牽引する人材の育成を行うための映画産業関係者による自主的な取組が必要であるとの認識から、当法人の立ち上げに至りました。

 

設立の趣旨

当法人は、映画制作に携わる人材の就業関係・取引環境の改善を目的とした審査機能を有するほか、スタッフの処遇改善・人材育成を支援するスタッフセンター機能を有しています。

映画産業における適正な取引を推進するとともに、映画制作現場の環境改善に取り組み、スタッフの生活と権利の保護及び地位向上を図ることを目的として活動して参ります。これは将来に亘って我が国の映画産業を永続化させるために必須な活動です。上記趣旨による活動を実施するにあたり、映画産業に携わる皆様のご理解とご協力を賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

映適のビジョン

「映画制作の持続的な発展に向けた取引ガイドライン」は、既存の各種法令において適法であることを前提に映画製作者、制作会社(プロダクション)及びフリーランスによってあらかじめ明示的に合意した条件を定めるものです。これにより過剰・過密な就業状況を避け、安全・安心して映画制作に集中できる状態を目指します。また、この条件に基づいて制作された作品に日本映画制作適正化機構が運営する「日本映画制作適正化認定制度」によって認定を与える制度にも活用されます。この認定制度は将来にわたって我が国の映画産業を永続化させるために必須な活動として、望ましい映画制作現場について認定を与える制度となっています。日本の映画制作が持続的、永続的なものとなるよう、多くの作品が本ガイドラインに基づき制作されることを望みます。

 

適正化の定義

映画制作現場の適正化とは、「既存の各種法令において適法であることを前提に、映画製作者(製作委員会)と制作会社、フリーランスが対等な関係を構築し、公正かつ透明な取引の実現が図られること。特に映画の作り手であるフリーランスが、独立した事業者として、能力・ネットワーク などの専門性を生かし、安全・安心して映画制作に集中して働ける環境が作られること」を指す。
• 本定義における「適法である」とは「独占禁止法」「下請法」「下請中小企業振興法」、場合によっては労働法制などのルールが守られた状態であること。「公正かつ透明な取引」とは、各団 体間の協約を締結することに加えて、個別の作品についてもあらかじめ関係者間で契約書が交付され、あらかじめ明示的に合意されている状態をそれぞれ指す。

 

「適正化」とは、「適法」であることに加えて、就業環境等が「適正」であり、かつサステナブル(持続可能)なもの。